湿疹
湿疹は、皮膚に赤み、かゆみ、ぶつぶつ、カサカサ、じくじく、かさぶたなどの症状が現れる最も一般的皮膚のトラブルです。
主な原因は、外部からの刺激(汗、薬品や化粧品類、植物など)、乾燥や摩擦などの物理的刺激が圧倒的に多く、アレルギー(薬品類や化粧品類、金属など)などさまざまです。
よくある湿疹のタイプ
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乳児湿疹(赤ちゃんにできる湿疹)
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接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」、何かに接触したことで起こる湿疹)
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アトピー性皮膚炎(体質が関係する慢性的な湿疹)
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皮脂欠乏性湿疹(皮膚の乾燥が原因で起こる湿疹)
症状
赤み、腫れや発疹、熱感、かゆみ、水疱・膿疱、かさぶたなどの症状を起こします。原因物質との接触を避けることが症状の改善や再発防止に不可欠で、繰り返し原因物質に接触し、悪化した場合には患部の皮膚が分厚くなり、接触していない部分にも皮膚炎が広がってしまう可能性があります。疑わしい症状がある場合には、早めに受診して原因を確かめ、適切な治療を受けることが重要です。
診断
病変や周囲の皮膚を丁寧に観察した上で診断しています。稀ですが、水虫などの場合があるため、鑑別が重要です。
治療
ステロイド外用剤などのかゆみ、炎症を抑える薬と原因や悪化要因の除去です。
放置して慢性化すると、皮膚の黒ずみ(色素沈着)、肥厚(硬くガサガサ)が現れ、治療に時間がかかりますので、早めの受診をおすすめします。
水虫
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が皮膚に感染して起こる疾患です。足の皮膚に多く観られますが、手や爪、股などの体のほかの部分にも感染することがあります。夏場や湿気の多い環境で悪化しやすく、再発しやすい疾患です。
主な症状
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足の皮がむける(特に足のゆびの間に多い)
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かゆみ(ただし、かゆみがない場合もあります)
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小さな水ぶくれ
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かかとの皮膚が厚くなり、ガサガサする
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爪が白く濁る、分厚くなる
感染の原因
白癬菌は湿った環境を好むため、
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温泉、銭湯やプールの床
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スポーツクラブのシャワールーム
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家族のスリッパやバスマット
などからうつることがあります。
治療
外用薬(抗真菌剤)
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軽症の水虫は、抗真菌剤の塗り薬で治療します。
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皮むけ、かゆみなどの症状がなくなっても、完全に白癬菌が消退するまでには数か月の外用が必要になります。
内服薬
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爪白癬や広範囲の水虫の場合には内服治療を行うことがあります。
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内服にあたっては血液検査で肝機能の確認を行います。
再発・予防のポイント
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毎日足をきれいに洗い、よく乾かす
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靴や靴下は通気性のよいものを選ぶ
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家族とスリッパやタオルを共有しない
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バスマットはこまめに洗濯、乾燥
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症状がなくなってからも医師の指示期間は治療を継続する
注意
水虫に似ている症状をしめす疾患(湿疹、汗疱など)もあります。
自己判断で、市販の水虫治療薬を使用して来院される方も多くいらっしゃいますが、まずは皮膚科で顕微鏡検査を受けていただくことが大切です。
虫刺され
腫れや赤み、かゆみを起こし、痛み、水疱、しこりなどを生じることもあります。刺されてすぐに症状が起こる場合が多いですが、翌日など時間が経過してから強い症状が現れることもあります。ほとんどの場合は長くても数日で症状が治まりますが、適切な処置や治療を行わないと強いかゆみが長期に渡って繰り返し起こり、しこりや色素沈着などが残る場合もあります。また、掻き壊して細菌感染を起こし、炎症が広範囲に広がる「とびひ」を発症することもあります。かゆみや腫れ、熱感などの症状が強い場合や、なかなか治まらない場合には早めにご相談ください。
応急処置と治療
特に注意が必要なのはマダニです。マダニは無理に取ろうとするとマダニの身体の一部が皮膚下に残ってしまう可能性があり、さらにマダニが持つ病原体が皮膚内に入り込んで感染することもあります。マダニによる感染症には致死率の高いものがあり危険ですので、すぐに受診してください。
マダニ以外に刺された場合は、すぐに流水でよく洗ってください。強い腫れやかゆみがある場合には、早めに皮膚科を受診してください。皮膚科では、患部の状態を詳細に観察して虫の一部が残っていないかを丁寧に確かめています。炎症が強い場合には短期間に鎮めるステロイド外用薬、かゆみが強い場合には抗アレルギー薬、細菌感染の疑いがある場合には抗生物質など、状態や症状に合わせた処方を行っています。
やけど
高温の気体・液体・固体が皮膚に接触して起こる損傷です。どこまで深くダメージを与えているかによって1~3度に分類されます。
- 1度熱傷:表皮のみに熱ダメージを受けている状態です。赤みが生じる程度で、水疱はできません。
- 2度熱傷:表皮の下の真皮にまでダメージが及んでいます。赤みや熱感、強い痛みを生じ、水疱や潰瘍が形成されます。
- 3度熱傷:表皮や真皮より下の皮下組織や骨にまで熱ダメージが及んでいる状態です。ダメージを受けた部分の皮膚が広範囲に壊死してしまいますので、治療には皮膚移植が必要です。
やけどは速やかに冷やすことが重要です。流水などで十分に冷やしてください。強い痛みがある、範囲が広いなどの場合には、保冷剤などで冷やしながら速やかに医療機関を受診してください。
治療
やけどの深さ・ダメージ、範囲、部位などにより治療内容が異なります。
1度熱傷
炎症を速やかに抑えるステロイド外用薬など、状態に合わせた治療を行います。
2度熱傷
ステロイド外用薬で炎症を抑え、潰瘍の修復や感染予防のための軟膏を併用します。治癒までの期間は部位や範囲、状態などで異なりますが、長い場合は数ヶ月かかることもあります。定期的に通院してしっかり治しましょう。